正則木上の単純ランダムウォークが頻繁に訪問する点について

談話会情報 日時 2023年11月15日(水) 15:30 〜 17:00 場所 1E502 講演者 阿部 圭宏 氏(東北大学) 講演題目 正則木上の単純ランダムウォークが頻繁に訪問する点について 概要 *本談話会は「数学フロンティア」対象科目です. Erd˝os-Taylor (1960)は整数格子上の単純ランダムウォークが頻繁に訪問する点(thick point)について研究を行い, それ以来, 関連する研究が数多くなされてきました. 特に2次元の場合は解析が困難であることが知られており, thick pointはクラスターを形成するだろうと予想されていますが, 部分的な結果はあるものの, 詳細な性質はまだわかっていません. 最近, 2次元格子上のthick pointの研究は対数相関をもつランダム場の研究の枠組みに入ることがわかってきました. 正則木上のthick pointの研究もこの枠組みに入り, 2次元格子の場合に比べて解析しやすいことが知られています. そこで, まずは正則木上のthick pointの研究を推し進めれば, そこで得られた知見が2次元格子上のthick pointの研究でも役立つのではないかと期待されています.本講演では, 前半で上記の背景を紹介し, 後半で正則木上のthick pointに対応する点過程がPoissonクラスター点過程に収束することを紹介します. 後半の内容はMarek Biskup氏 (UCLA)との共同研究にもとづきます.

Coxeter 変換から定まる良い基本不変式とフロベニウス構造

談話会情報 日時 2023年12月7日(木) 13時45分~15時15分 場所 D509 講演者 佐竹 郁夫氏(文教大学) 講演題目 Coxeter 変換から定まる良い基本不変式とフロベニウス構造 概要 概要 G を実ベクトル空間 V0に作用する有限鏡映群とする。V=V0⊗RCを V0 の複素化とする。射影 π:V→V/G は同型ではないが、q∈V を Coxeter 変換の原始h 乗根に対する(h は Coxeter 数)固有ベクトルとしたとき、q は鏡映面の外にあるため、π は q においては局所同型である。これを不変式環の言葉で言い換える。C[V] の生成元として、Coxeter変換で固有ベクトルとなるものを固定しよう。すると上記は、V/G の座標環である C[V]Gの生成元を C[V] の生成元を用いて q でテイラー展開したとき、1次の係数に十分 0 でない項がある、と言い換えられる。テイラー展開の高次の項は、C[V]G の生成元の取り方に依存するが、逆に高次の項ができるだけ 0 になるように生成元を選ぶことができる。こうして得られる C[V]Gの生成元が実は V/G に入るフロベニウス構造における平坦座標(平坦不変式)であり、このとき 0 にならないさらに高次の係数がフロベニウス構造の積構造に対応することを紹介する。楕円ワイル群についての不変式でも同様の結果が得られているので、それも紹介したい。