October 2025

高次元統計解析に基づくクラスタリングと変化点検知

日時:2025年11月14日金曜日 15:15~16:30 場所:自然系D棟509 講演者:江頭健斗 氏(東京理科大学 創域理工学部) 概要:現代の科学・工学分野では,観測変数の数が標本数を大きく上回る「高次元データ」が一般的となっています.このようなデータ構造のもとでは,従来の多変量解析の理論や方法論は適用が難しく,それに代わる新しい統計的枠組みの構築が進められています.本講演では,高次元統計解析の観点から,クラスタリングと変化点検知という二つの代表的なデータ構造推定手法を取り上げます.まず,階層的クラスタリングにおける樹形図の構造に注目し,高次元データ特有の性質を整理します.特に,階層的クラスタリングに関する最近の理論的進展についても紹介します.続いて,時系列的な高次元データに対して,平均構造や共分散構造の変化を検出するための新しい方法論を紹介します.これらの手法は,高次元漸近理論に基づいて構築されており,大標本データとは異なる高次元特有の現象を適切に捉えることを目的としています.さらに,数値実験を通じて,理論的成果が実際のデータ解析にどのように応用できるかを示し,高次元データ解析の今後の展開と課題について議論します.