弱擬凸性と強擬凸性の複素幾何
日時:2026年6月11日(木)16:15-17:15
場所:自然系学系D棟D509
講演者:小池 貴之(筑波大学)
概要:多変数函数論においては、正則関数がどこまで解析接続できるか、またどのような領域が「それ以上延長できない自然な定義域」として特徴づけられるか、という問題が古くから中心的な主題の一つであった。Hartogs現象に代表される、一変数の場合とは大きく異なる現象の考察を通じて、これらの問題は複素ユークリッド空間内の領域にとどまらず、一般の複素多様体上での問題へと自然に広がり、現代では擬凸性をめぐる複素幾何の問題として理解されている。本講演の前半では、このような歴史的展開を概観したい。後半では、一般の複素多様体上で現れる弱擬凸性と強擬凸性の差異に焦点を当てる。強擬凸性が古典的理論とよく調和する一方で、弱擬凸性はレビ平坦現象とも関わる、より繊細で複雑な幾何を示す。本講演では具体例を交えつつ、そのような差異に関する最近の話題を紹介したい。

